14日夜に起きた熊本地震の本震の揺れは、震度7を観測した熊本県益城ましき町で最大加速度1580ガル、最大速度92カインをそれぞれ記録した。加速度は1995年の阪神大震災の891ガルを大きく上回った。(防災科学技術研究所(茨城県つくば市)の地震波の解析)

九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)の運転差し止めの仮処分を地元住民らが求めた即時抗告審で、福岡高裁宮崎支部(西川知一郎裁判長)は6日、同原発が「新規制基準に適合するとした原子力規制委員会の判断が不合理とはいえない」として、住民側の申し立てを棄却する決定を出している。

報道では、「14日の本震から15日の余震で、薩摩川内市では最大震度4を観測したが、川内原発は震度2だった。揺れの強さ(最大加速度)は自動停止の基準である160ガルに対して数ガルだった。」とされている。

だが、2014年10月10日に行なわれた「川内原子力発電所に係る新規制基準適合性審査結果に関する住民説明会」では、想定される最大規模の地震の揺れの大きさについて、住民側から「川内原発は620ガルと想定しているが、過小評価していて、当時、原子力安全基盤機構が解析で示した1340ガルより大きい地震の揺れを取り入れるべきだ」との意見が出されたが、原子力規制庁の担当者は、「震源を特定しない地震から620ガルと評価しており、1340ガルは、研究のために設定した数字で、実際に起こった地震から考えたものではなく、取り入れなかった」と答えている。

防災科研は日本全国を対象とした強震観測網であるK-NET・KiK-netを運用しており、この地震(熊本地震)についても、K-NET、 KiK-netでそれぞれ191点、145点、合計336点の強震記録をインターネット上で公開している。

それによると前記のとおり、K-NET・KiK-netで記録された最大加速度はKMMH16(KiK-net益城)観測点の1580gal(三成分合成値)となる。

さて、九州電力によると、運転中の川内原発1、2号機は運転を継続しており、玄海原発は停止している。原子力規制庁によると、両原発に異常はないという。熊本地震が起きたが、稼働中の川内原発では、数ガルしか検知されておらず、問題なく稼動しているという報道、並びに、住民説明会で示された「1340ガルは、研究のために設定した数字で、実際に起こった地震から考えたものではなく」という内容は、本熊本地震と相容れない。

今月(4月)6日に福岡高裁宮崎支部において、西川知一郎裁判長は、原子力規制委員会が原発の耐震性の強化を求めた新規制基準と安全審査を「不合理とはいえない」と判断し、運転停止の必要はないと結論付けた根拠として、「〈1〉新基準に基づき想定する最大規模の地震の揺れ(基準地震動)の妥当性」を第一に挙げたが、その根拠が崩壊したことになる。

その後も震度6前後の群発地震が起きているが、今回の地震は活断層に沿って起きているとの分析が専門家からなされている。
620ガルという基準地震動こそ、原発再稼動のためのコスト実施可能性から設定された、ためにするものではないか。

今回の地震は内陸型で、地表面から比較的浅い場所で起きており、日本全体が地震活動期に入ったと強く認識されるものだった。熊本地震が起きるなど、そもそも6日の判決で想定されておらず、まさに笑止というべき判決であった。

また鹿児島川内原発の避難計画に入れられている新幹線と高速道路は、すべて熊本地震で止まった。(2014年8月18日、鹿児島県薩摩川内市の岩切秀雄市長は記者会見で、「稼働後に重大事故が発生した場合、住民避難のために九州新幹線を利用できるよう、九州旅客鉄道(JR九州)に、鹿児島県と共同で協定締結を申し入れる考え」と避難方法について話している。)

日本列島に原発を置くのは困難。
もはや、なにもかも根拠が崩壊したというのが今回の熊本地震の現実。
これほど国民をバカにした話はない。

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