(1)経済への影響
図表4は、平成9年4月と平成26年4月の消費税率の引上げにおけるGDP成長率と民間最終消費支出の推移を示したものである。5%への消費税率の引上げにおいては、駆け込み需要の反動減等により、平成9年4- 6月期のGDP成長率がマイナスとなった。

しかし、7-9月期にはGDP成長率と消費支 出は共にプラスに転じたため、10-12月期以降のマイナス成長の要因はアジア通貨危機等 によるものが大きく、消費増税の影響から回復に向かっていたとの見方もある 。

一方、8%への消費税率の引上げにおいては、平成26年4-6月期は反動減等の影響が5%への税率引上げ時と比べて大きくなり、また、7-9月期は在庫調整による影響など民需が低迷したこともあり、GDP成長率は2四半期連続でマイナスとなった。平成26年度の通期でもマイナス(-0.9%)成長となったが、10-12月期から2四半期連続でプラス成長となったこと等を踏まえると、基本的に消費増税の影響から一巡したものと見ている。

今回の消費増税10%の反動減は、5→8%時より小さいと見られているが、度重なる消費増税により、GDPの6割を占める消費支出への侵食が大きいと指摘されており、減税の声もある。ただ、依然として財政赤字が続く状況下において、赤字国債の増発による財政出動で経済を持ち上げると云う悪循環は止まっておらず、より本質的な経済財政政策への転換が求められている局面と云えよう。

なかにはMMTなる経済理論も出ているが、財務省、日銀、全銀協等の機関投資家においては「論外」とされていることも指摘しておきたい。金融緩和が上手くいかないので、次はヘリコプターマネーまがいの財政出動を云うのは、無責任と云わざるを得ない。ひとつのグラフをとって、投機的な行動を取ることは、極めて危険であり、正しく因果関係を求め、問題の解決を図っていくことが望ましい。

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